「トルネコの大冒険」シリーズは、国民的RPG「ドラゴンクエスト」の世界を舞台にしたダンジョン探索RPGであり、今や一大ジャンルとなった「不思議のダンジョン」シリーズの記念すべき第一作目です。
「1000回遊べるRPG」というキャッチコピーと共に、入るたびに形を変えるダンジョンと、常に死と隣り合わせの緊張感が多くのプレイヤーを魅了しました。
本シリーズは、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場した武器商人「トルネコ」を主人公としたスピンオフ作品として、チュンソフト(現:スパイク・チュンソフト)によって開発されました。
1993年に発売された初代『トルネコの大冒険』は、当時まだ家庭用ゲーム機では珍しかった「ローグライクゲーム」の面白さを広め、大ヒットを記録。これが「不思議のダンジョン」というブランドの始まりとなり、『風来のシレン』や『チョコボの不思議なダンジョン』といった後続シリーズが生まれるきっかけとなりました。
トルネコの大冒険 不思議のダンジョン

機種 | スーパーファミコン |
キャッチコピー | 1000回遊べるRPG とらぬトルネコの皮算用 |
発売日 | 1993年9月19日 |
開発・販売元 | チュンソフト |
定価 | 9,600円(税別) |
不思議のダンジョンシリーズの元となった記念すべき第一作目
本作は『ドラゴンクエストIV』でお馴染みの武器商人トルネコが主人公です。世界一の店を持つという夢を抱く彼は、「不思議のダンジョン」に眠るという伝説のお宝の噂を耳にします。店や家族のことを思い悩みますが、妻ネネと息子ポポロの応援を受け、冒険に出ることを決意します。ダンジョン近くの村に店を構え、王様に探索の許可を求めますが、まずは試練として「ちょっと不思議のダンジョン」から宝石箱を持ち帰るよう命じられます。トルネコは王様の試練を乗り越え、ダンジョンに挑戦します。そして持ち帰ったアイテムで店を大きくしながら、伝説のお宝を目指して何度もダンジョンに挑みます。
本作最大の魅力は、入るたびに地形や落ちている道具、敵の配置が変わる「不思議のダンジョン」システムです。これにより、常に新鮮な気持ちで探索を楽しめ、「1000回遊べるRPG」と称される高い中毒性を生んでいます。プレイヤーが行動すると敵も動くターン制で、一手一手が重要となる戦略性の高いバトルが展開されます。倒されるとレベル1に戻りアイテムも失う厳しい側面もありますが 、プレイヤー自身の経験と知識が攻略の鍵となる、挑戦しがいのあるゲーム性が評価されました。また、「満腹度」の管理や様々なワナも冒険の緊張感を高めます。親しみやすい『ドラゴンクエスト』の世界観が、当時まだ珍しかったローグライクゲームへの入口を広げた点も大きな特徴です。
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トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン

機種 | プレイステーション |
キャッチコピー | ドラゴンクエスト・ファミリー、 ついにプレイステーションに登場! 1000回遊べるRPGシリーズ最新作。 |
発売日 | 1999年9月15日 |
開発・販売元 | チュンソフト マトリックス エニックス |
定価 | 6,800円(税別) |
新要素を多数追加して進化したトルネコシリーズ第二作目
前作でトルネコが「しあわせの箱」を手に入れてから約半年後のお話です。平和な日々を送っていたトルネコの周りで、ある日突然、森や山までもが「不思議のダンジョン」に変わってしまうという不思議な異変が発生します。トルネコはこの世界の異変の謎を解き明かし、平和を取り戻すため、再びモンスターや罠が待ち受ける不思議のダンジョンへと挑むことになります。
前作から引き継がれた、入るたびに地形が変わる「不思議のダンジョン」システムや、倒れるとレベル1に戻りアイテムも失う緊張感は健在です。本作では新要素として「風来のシレン」から導入された「合成の壺」を使ったアイテム合成システムが追加されました。これにより、武器や盾に他のアイテムの能力を付与するなど、自分だけの強力な装備を作り出す戦略性が加わっています。さらに、商人だけでなく、戦士や魔法使いといった職業に転職できるシステムも導入され、職業ごとに異なる能力や戦術でダンジョンに挑むことが可能となり、遊びの幅が大きく広がりました。これらの新要素により、前作とはまた違う面白さと「1000回遊べる」と評されるリプレイ性を生み出しています。
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トルネコの大冒険2アドバンス 不思議のダンジョン

機種 | ゲームボーイアドバンス |
キャッチコピー | ドラゴンクエストⅣの人気者 ご存知、商人「トルネコ」の大冒険!! |
発売日 | 2001年12月20日 |
開発・販売元 | チュンソフト マトリックス エニックス |
定価 | 5,980円(税別) |
様々な要素が追加・修正されたPS版の移植版
PSで発売した「トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン」の移植版。PS版をベースにしつつ、携帯機でのプレイに適した様々な調整が加えられています。最も大きな違いは、中断システムの変更です。PS版では「中断の巻物」が必要でしたが、GBA版ではダンジョンの階段を降りる際にいつでもセーブして中断できるようになり、スリープ機能も追加されました。これにより格段に手軽に遊べるようになりました。また、GBA版独自の機能として、通信ケーブルを用いたプレイヤー間でのアイテム交換が可能になっています。
ゲームバランス面では、PS版で強力すぎるとされた一部のアイテム(分裂の壺、すいだしの巻物など)が削除されました。他にも戦士や魔法使いの技・魔法の効果や消費満腹度も見直され、例えば魔法使いのメガンテでは経験値が入らなくなっています。一方で、武器のダメージ上限が撤廃され、鍛え上げた武器の性能がより直接的に反映されるようになっています。
その他、ミニマップが常時表示されなくなった点や、PS版に存在した一部バグの修正なども行われています。これらの変更により、GBA版は単なる移植ではなく、PS版とは異なるプレイ感覚を持つ独自のバージョンと言えます。
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トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン

機種 | プレイステーション2 |
キャッチコピー | どこまでも冒険するおとうさんが教えてくれたものがたり |
発売日 | 2002年10月31日 |
開発・販売元 | チュンソフト マトリックス エニックス |
定価 | 6,800円(税別) |
前作から6年後、12歳になったポポロも冒険へ旅立つ
前作から6年の時が流れ、トルネコの息子ポポロは12歳の誕生日を迎えました。一家は誕生日を祝うため南の島へのバカンスへ向かいますが、船が津波に襲われ、見知らぬバリナボ島に漂着してしまいます。トルネコと妻ネネは無事でしたが、ポポロだけが原因不明の深い眠りに落ちてしまいます。島の村長からポポロを救う手掛かりを聞いたトルネコは、息子のために「不思議なダンジョン」と化してしまった島の遺跡へと足を踏み入れることを決意します。
本作では新アイテムも多数追加されていますが、前作『トルネコの大冒険2』との大きな違いは、主人公としてトルネコに加え、本編途中やクリア後から息子のポポロも操作できるようになった点です。ポポロは一部のアイテムが使用できませんが、ダンジョン内で倒したモンスターを仲間に引き入れ、一緒に戦うことができます。この仲間モンスターシステムが本作の大きな特徴と言えるでしょう。さらに、物語を進めるダンジョンでは、途中で倒れてもレベルが1に戻らず継続されるため、前作よりもストーリーを進めやすくなっています。
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トルネコの大冒険3アドバンス 不思議のダンジョン

機種 | ゲームボーイアドバンス |
キャッチコピー | トルネコ親子の大冒険がはじまる |
発売日 | 2004年6月24日 |
開発・販売元 | チュンソフト マトリックス スクウェア・エニックス |
定価 | 5,980円(税別) |
様々な要素が追加・修正されたPS2版の移植版
PS2で発売した「トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン」の移植版。PS2版をベースにしつつ、多数の要素が追加・変更されています。最も大きな追加要素は「エクストラモード」です 。これはゲーム開始時から挑戦できる4つの専用ダンジョンで構成され、本編では仲間にならないキャラクターをパートナーとして連れて行くことができます。
システム面では、携帯機への移植に伴う調整が見られます。例えば、部屋から通路への視界が1マスに狭まり、探索の難易度が上がりました。また、PS2版ではトルネコが押して動かせた「石像」が、GBA版では動かせなくなっています。
モンスター関連では、同じ種類のモンスターが集団で行動する性質がなくなり 、「魔物の壺」から出現するモンスターが階層に依存しなくなったため、低層で強力なモンスターが出現する可能性が生まれました 。これは特にポポロ編の戦略に影響を与えます。また、特定の種族だけが出現する特殊なモンスターハウスも追加されています。水系モンスターの特性も変更され、水中にいる間はターン終了時にHPが全回復するようになりました。
他にも、カジノ施設がモンスター闘技場のみになったり、アイテムの追加や効果変更、パズルダンジョンの報酬変更とアイテム持ち帰り不可など、PS2版とは細かな違いが多数存在します。