1990年代中期に登場したセガサターンは、当時のゲームプラットフォームの中でも独特な位置を占めており、そこで展開されたホラーゲームもまた、他機種とは異なる独自の特色を持っていました。
またセガサターンは、そのハードウェアの特性を活かしたホラー表現を追求していました。特に、CD-ROMの大容量を活かしたリッチなマルチメディア表現は、ホラーゲームの雰囲気を高める上で重要な役割を果たしました。
実写映像やポリゴンによる教室などが登場するゲーム や、3Dレンダリングされたムービーと静止画を組み合わせたアドベンチャーパートを持つゲーム など、多様なビジュアル表現が用いられました。特に、ムービーシーンを多用することで、映画的な雰囲気を演出し、物語への没入感を深める試みが見られました 。
また、重厚なポリゴングラフィックを売りにした作品もあり 、当時の技術水準としては高いクオリティの3Dモデルや背景描写が、ホラーゲームの持つ不気味さや異形感を際立たせました。ただし、初期の3D表現においては、テクスチャの歪みなどが不気味さを強調する意図しない効果を生み出すこともありました 。
エネミー・ゼロ

ジャンル | インタラクティブ・ムービー サバイバルホラー アクションアドベンチャー |
キャッチコピー | 見えない敵は、其処にいる。 |
発売日 | 1996年12月13日 |
開発・販売元 | ワープ |
定価 | 6,800円(税別) |
見えない敵と音を頼りに戦うという斬新なシステムのホラーゲーム
WARP(ワープ)から1996年に発売された「エネミー・ゼロ」は、今なお色褪せない強烈な印象を残す異色の作品です。鬼才・飯野賢治氏のディレクションによる本作は、「インタラクティブ・ムービー」と銘打たれながらも、従来のゲームの枠を超えた斬新な試みが多く盛り込まれています。宇宙船という閉鎖された空間で、姿の見えない敵に遭遇するという独創的な設定は、発売当時から多くの注目を集めました。
地球への帰還を目指す宇宙船内で、主人公ローラは冷凍睡眠から目覚めますが、船内には異様な静けさが漂っています。通信に応答した同僚パーカーのモニターに映し出されたのは、何かにおびえる彼の姿と、何もない場所で突如として惨殺される彼の姿でした。状況を飲み込めないローラは、他の乗務員とも連絡を取ろうとしますが、回線が不調などの理由で連絡が取れません。ローラは自分の部屋を飛び出し、パーカーの状況を確認しようと行動を開始します。
プレイヤーは、VPS(生体感知器)から発せられる音の強弱や方向を頼りに、見えない敵の接近を察知し、回避したり、銃を構えて戦ったりする必要があります。しかし、銃は発射までにエネルギーをチャージする時間が必要であり、敵の正確な位置を把握しなければ無駄撃ちに終わります。このもどかしさもまた、ゲームの緊張感を高める要素となっています。
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Dの食卓

ジャンル | インタラクティブ・ムービー 3Dアドベンチャー |
キャッチコピー | 衝撃のインタラクティブ・シネマ遂に登場! |
発売日 | 1995年7月28日 |
対象年齢 | CERO A(全年齢) |
開発・販売元 | ワープ アクレイム |
定価 | 8,800円(税別) |
大量殺人事件を犯した父親の精神世界で判明する衝撃の真実
1995年4月1日発売された3DOのソフト「Dの食卓」の移植版で、同年7月28日にセガサターンで発売しました。こちらもエネミーゼロと同じ鬼才・飯野賢治氏の作品です。
物語は1997年、ロサンゼルスで精神科医リクターが病院を占拠し大量殺人を犯します。彼の娘で主人公のローラは説得を試みますが、病院は謎の古城へと変貌。古城という父の精神世界で、ローラは2時間以内に脱出しなければなりません。そして城内を探索する中で、父の狂気の真相と失踪した母の秘密が明らかになります。時間制限の中、ローラは数々の謎を解き、父との対峙、そして衝撃的な結末を迎えます。
本作は、当時の最先端技術を駆使したリアルな3Dグラフィックと不気味な世界観が最大の魅力です。フルポリゴンのキャラクターによる豊かな感情表現、2時間というリアルタイムの時間制限が生み出す緊張感と没入感は他に類を見ない斬新なシステムでした。またアクション要素はなく、謎解きと映画のような演出が楽しめます。単なるホラーに留まらず、父娘の愛憎や狂気を描いた重厚な物語もプレイヤーを惹きつけます。
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DEEP FEAR(ディープ フィアー)

ジャンル | 深海ホラーサスペンス サバイバルホラー |
キャッチコピー | 逃げ場のない絶望 |
発売日 | 1998年7月16日 |
開発・販売元 | セガCS2研 システムサコム ISCO セガ・エンタープライゼス |
定価 | 6,800円(税別) |
謎のクリーチャーに変貌した乗組員で溢れかえった深海基地から脱出せよ
21世紀初頭、太平洋に落下した宇宙船ポッドを回収した原子力潜水艦が、深海基地ビッグテーブルに到着。しかし、そこで謎の生命体が拡散し、レスキュー隊員のジョンは、取り残された研究員の救出に向かう。基地内は怪物に変貌した乗組員で溢れ、ジョンは次々と起こるアクシデントと戦いながら脱出を目指す。感染源は宇宙から来たバクテリアで、救助対象の研究員自身も感染してしまう 。
本作の最大の特徴は、深海基地という閉鎖された環境における「空気」の概念である . 施設内には空気残量が設定されたエリアがあり、時間経過や武器の使用によって減少。酸素がなくなるとダメージを受けるため、エアシステムやエアグレネードで補充する必要がある . 銃器も使用できるが、発砲は酸素を消費するため注意が必要だ . 深海という特殊な状況下でのサバイバルが、独特の緊張感を生み出す .
「DEEP FEAR」の魅力は、深海という舞台設定が生み出す閉鎖的で予測不能な恐怖体験である . 突然変異する乗組員や、リアルタイムに減少する酸素、水圧による基地の崩壊など、次々と襲い来る脅威がプレイヤーを常に緊張させる . 当時の技術を活かしたCGムービーや、手に汗握るストーリー展開も没入感を高める . 酸素管理という独自のシステムが、他のホラーゲームにはないサバイバル要素とリアリティを与えている点も魅力である。
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ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド

クリーチャーが蔓延する館を探索し、キュリアン博士の暴走を阻止せよ
1997年よりアーケードで稼働していた「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」の移植版で、人気シリーズ第一作目。
本作はセガサターン初期に登場したガンシューティングゲームとして、その斬新なゲーム性と恐怖演出で多くのプレイヤーをファンにしました。画面に現れるゾンビやクリーチャーを専用コントローラーや標準コントローラーで狙い撃つ爽快感は格別で、ホラー映画のような緊迫感溢れる展開に手に汗握ります。当時の3Dグラフィックとしてはリアルでグロテスクな表現も特徴的で、友人との二人同時プレイで協力しながら難関を突破する楽しさも本作の大きな魅力です。
1998年、Dr.キュリアン博士が非人道的な人体実験により生み出したゾンビやクリーチャーが蔓延するキュリアン邸。AMSのエージェントであるトーマス・ローガンとGは、博士の暴走を阻止し、館からの脱出を図ります。次々と襲い来る異形の者たちを銃で撃ち倒しながら、二人は館の奥深くへと進んでいきます。果たして、彼らはキュリアン博士の野望を打ち砕き、生きてこの悪夢から抜け出すことができるのでしょうか。
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ゲゲゲの鬼太郎 幻冬怪奇譚(げんとうかいきたん)

ジャンル | サウンドノベル |
キャッチコピー | 鬼太郎を誘う雪と怪奇の扉。 真冬の悪夢か…『幻冬怪奇譚』 |
発売日 | 1996年12月27日 |
開発・販売元 | バンダイ トーセ |
定価 | 6,800円(税別) |
妖気が漂う山あいの古村で起きる、不気味な死体消失事件の真相とは
セガサターンで発売された唯一の鬼太郎ゲー。同時期に発売された3DアドベンチャーのPS版とは異なり、純粋なノベルゲーとなっています。
普段は雪の降らないゲゲゲの森に大雪が降り積もり、不安を抱く鬼太郎。そんな時に送られてきた手紙により、吹雪が激しく吹き荒れる姥捨村(ウバステムラ)へと向かい、怪奇事件へと巻き込まれていきます。
本作品の最大の魅力は、何と言っても、原作漫画の持つ独特の怪奇で幻想的な雰囲気を、当時のゲームとしては非常に高いレベルで再現している点にあります 。テレビアニメで親しんだ明るい「ゲゲゲの鬼太郎」とは異なる、水木しげる氏の描く妖怪たちの不気味さや、物語全体を覆う神秘的な世界観を、サウンドノベルという形式を通してじっくりと堪能できるのは、原作ファンにとってかけがえのない体験になるのではないでしょうか。
また、プレイヤーの選択によって物語が分岐していく、マルチシナリオシステムを採用しています。自分の選択が物語の展開や結末を左右するというインタラクティブ性は、単に物語を読むだけでは得られない、ゲームならではの没入感を生み出します。様々な選択肢を試すことで、異なる視点から物語を体験したり、隠された真相にたどり着いたりすることができるため、何度も繰り返しプレイしたくなる魅力があります。
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ダークシード

ジャンル | サイコロジカルホラー ポイント・アンド・クリック アドベンチャー |
キャッチコピー | 「エイリアン」のH・Rギーガーが てがけた傑作ホラーアドベンチャーゲーム! |
発売日 | 1995年7月7日 |
対象年齢 | 18歳以上 |
開発・販売元 | ギャガ CYBERDREAMS |
定価 | 5,800円(税別) |
映画「エイリアン」のデザイナーが手がけた奇妙な世界観の作品
本作は、郊外の静かな屋敷に引っ越してきたばかりの若い実業家、マイク・ドーソンが物語の主人公です。新生活に胸を躍らせるドーソンでしたが、引っ越し初日の夜、彼は頭に奇妙なエイリアンの卵が埋め込まれるという悪夢にうなされます。この悪夢をきっかけに、ドーソンは自分の屋敷だけでなく、町全体がどこか異様な雰囲気に包まれていることに気づき始めます。やがて彼は、この世界にはノーマルワールドとダークワールドという二つの側面が存在すること、そして自分だけがその両世界を行き来できるという驚愕の事実を知ります。頭の中で成長していく卵が孵化するまでのわずかな時間の中で、ドーソンは町の謎を解き明かし、「古き神々」と呼ばれる存在による地球への侵略を阻止するという過酷な使命を背負うことになります。
「ダークシード」の最大の魅力は、なんといってもその独特なアートワークでしょう。映画「エイリアン」シリーズのクリーチャーデザインで世界的に有名なH.R.ギーガー氏が全面的にデザインを手がけており、彼の描くグロテスクでありながらも有機的な美しさを湛えたダークファンタジーの世界観は、他のゲームでは決して味わえない強烈な個性を放っています。
ゲームシステムとしては、オーソドックスなポイント・アンド・クリック形式のアドベンチャーゲームですが、その謎解きの難易度は非常に高く、一般的な攻略情報なしにクリアすることは困難であると言われています。その為か、説明書に完全攻略が記載されているという、異例の措置がとられています。
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ダークシードII

ジャンル | サイコロジカルホラー ポイント・アンド・クリック アドベンチャー |
キャッチコピー | アカデミー受賞作家、H・Rギーガーによる、 背筋も凍るようなアートワーク。 戦慄のホラーアドベンチャー。 |
発売日 | 1997年8月29日 |
対象年齢 | CERO A(全年齢) |
開発・販売元 | ギャガ ビーファク CYBERDREAMS |
定価 | 5,800円(税別) |
前作の悪夢から1年後、マイクに再びダークワールドの影が忍び寄る
前作『ダークシード』の悪夢を引き継ぎ、プレイヤーを再び異様な世界へと誘うポイントクリック型アドベンチャーゲームです。引き続きH.R.ギーガー氏の描く、有機的ながらも機械的な、そしてどこか退廃的な美学がゲーム全体を彩っています。
前作での恐ろしい出来事から一年後、主人公のマイク・ドーソンは故郷に戻り、平穏な生活を取り戻そうとしていました。しかし、高校の同窓会の後、彼の恋人リタが何者かに殺害されてしまいます。事件当夜の記憶が曖昧なマイクは、警察から第一容疑者として疑われてしまいます。自身の潔白を証明するため、そして再び地球を侵略しようと企む古代神々「エンシェンツ」の野望を阻止するため、マイクは調査を開始します。彼の捜査は、現実世界とギーガー氏の描く悪夢のような異次元「ダークワールド」を行き来しながら進んでいきます。
大幅に向上したグラフィックは、その異質な世界観をより一層際立たせています。また、前作で多くのプレイヤーを苦しめた時間制限の要素が本作ではなくなり、より自分のペースでじっくりと物語や謎解きに没頭できるようになったことも大きな魅力と言えるでしょう。物語は、恋人の殺人事件というミステリー要素と、異世界からの侵略というホラー要素が複雑に絡み合い、単なる謎解きゲームではない作品に仕上がっています。
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古伝降霊術 百物語 ほんとにあった怖い話

ジャンル | サウンドノベル |
キャッチコピー | 厳選、心霊体験実話100選! |
発売日 | 1997年8月8日 |
対象年齢 | CERO A(全年齢) |
開発・販売元 | ハドソン |
定価 | 5,800円(税別) |
稲川淳二氏が監修を務めた、百物語の怪談オムニバス
PCエンジンで発売した「百物語 ~ほんとにあった怖い話~」の続編で、前作と同じく日本の伝統的な怪談会「百物語」をモチーフにしたサウンドノベルです。今作ではホラー漫画雑誌『ほんとにあった怖い話』に寄せられた一般投稿による実話怪談を元にしています。著名な怪談家・稲川淳二氏が監修を務め、氏の体験に基づいた特別な物語も収録。テキストを読むだけでなく、実写映像や心霊写真が挿入され、臨場感あふれる恐怖が味わえます。
サウンドノベル形式ながらも、実写映像や効果音などが効果的に使用され、プレイヤーの想像力を掻き立てます。百物語形式で多数の怖い話が楽しめるだけでなく、「学校の七不思議」や「心霊現象マップ」といった様々なモードも用意されており、飽きさせない工夫が凝らされています。
特にフルムービーとフルナレーションで語る「稲川淳二スペシャルストーリー」モードは、まさに圧巻の一言です。彼の独特の語り口、通称「稲川節」は、聞く者をゾッとさせる力があり、多くのファンがこのモードを目当てにゲームをプレイしたと言われています。彼の話術は、精巧なモンスターや特殊効果よりも、人間の想像力を掻き立てることで、より深い恐怖を与えることを再認識させてくれます。
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マリア 君たちが生まれた理由

ジャンル | インタラクティブ・ドラマ サウンドノベル |
キャッチコピー | 多重人格の少女マリアとの出会いから始まる 壮絶な人間ドラマを完全ゲーム化。 |
発売日 | 1997年12月11日 |
対象年齢 | CERO A(全年齢) |
開発・販売元 | アクセラ |
定価 | 6,800円(税別) |
多重人格の少女マリアの中にいる「君たち」が生まれた理由と事件の真相
新米外科医の高野潤は、自殺未遂で運び込まれた女子高生の筒井マリアを担当します。カウンセリングを通して、彼女が過去のトラウマにより多重人格であることを知った高野は、その原因となった11年前の両親殺害事件の真相を追うことになります。マリアの中に存在する複数の人格、事件の関係者たちの思惑が絡み合い、高野自身も予期せぬ運命に巻き込まれていく。物語は主に会話シーンと選択肢によって進行し、プレイヤーの選択が結末を左右するインタラクティブな形式で展開します。
このゲーム最大の魅力は、多重人格という心理的なテーマと、過去の未解決事件が複雑に絡み合う本格的なミステリー要素です 。プレイヤーは主人公の高野潤として、カウンセリングを通じてマリアの心を深く探り、事件の真相に迫っていきます 。物語は章立てで進行し、まるでドラマを見ているかのような感覚で楽しむことができます 。また、プレイヤーの選択によって物語の展開や結末が変化するマルチエンディングシステムを採用しており、何度も繰り返しプレイすることで異なる真相にたどり着ける点も魅力の一つです 。
さらに、ゲーム内には仮想パソコンが登場し、情報の収集や人物データベースへのアクセスといった、当時としては斬新なシステムが搭載されていました 。これは、単なるアドベンチャーゲームに留まらない、インタラクティブな体験を提供しようという制作側の意図が感じられます。音楽も評価が高く、重厚なストーリーを盛り上げる重要な要素となっています 。
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犯行写真 縛られた少女たちの見たモノは?

ジャンル | サウンドノベル |
発売日 | 1996年6月14日 |
対象年齢 | CERO Z(18歳以上) |
開発・販売元 | イマジニア |
定価 | 6,800円(税別) |
アイドルの写真も撮れる異色の実写サウンドノベルゲーム
物語は、温泉のあるペンションへ旅行に訪れた一行が、突然の嵐によって外界から孤立してしまうところから始まります 。この一行の中には、3人組のアイドルグループが含まれており、主人公であるプレイヤーは、彼女たちの写真集撮影のためにこのペンションを訪れたカメラマンという設定です。しかし、天候不良による撮影の遅れから、一行の間には徐々に不穏な空気が漂い始めます
そんな中、最初の事件が発生します。土砂崩れによって完全に孤立してしまったペンション内で、アイドルグループのマネージャーが何者かに殺害されるのです。この事件を皮切りに、ペンションのオーナー夫人や使用人も次々と犠牲となり、事態は深刻さを増していきます。プレイヤーである主人公は、この連続殺人事件の謎を解き明かすべく、行動を開始することになります。
ゲームは、前半ではアイドルグループの撮影を行う疑似カメラマンゲーム、後半では連続殺人事件に巻き込まれたアイドルたちの中で、主人公が探偵役として犯人に立ち向かうミステリーアドベンチャーという二部構成になっています 。前半の撮影パートでは、画面の上下に合わせてタイミング良くシャッターを切るという、ミニゲーム的な要素も含まれています 。そして、物語が後半に入ると、人里離れたペンションで起こる連続殺人事件という本格的なミステリーが展開され、プレイヤーは事件の真相を追い求めることになります。